シニアと若者をマッチングさせるインキュベーション事業はありか?

大企業ほど定年延長で発生するシニア労働者の待遇と配置に悩む会社はない。好景気な会社であれば、仕事は沢山あるのだが、景気が悪い会社ならば子会社や下請け会社などに出向させる方法を取る。それが出来ない会社は、人材派遣会社に依頼してシニア労働者が働ける場所を斡旋してもらう。

60歳から65歳までの再雇用シニア会社員を有効活用する新しい職場を作る会社は少ないだろう。

シニア会社員によるインキュベーション事業を推し進めている企業ならば、そこから生まれた新しい事業にシニア労働者を出向できる。または、会社が共同出資をして新しい職場を確保できる。シニアインキュベーションで上手く行った会社に「高齢社」がある。シニア技術者の人税派遣サービスをやっている会社だ。

親会社で働いていたシニア技術者をこの人税派遣会社経由で他社に派遣する仕事である。

シニアが作り出すビジネスはシニアのニーズを反映している!

シニア会社員の再雇用の人事担当者は、若い人が多い。若い人事担当者社員は、60歳を越える社員の本当のニーズを頭では理解しても心で分かっていない場合が多い。通常の人事による配置転換ではない。年齢を配慮した新しい生き甲斐とやりがいを新しい仕事に見出して頂くようにしなければならない。

59歳と60歳の社員で何が違うのだろうか!違うのは、仕事を行う能力ではなく年齢の違いだけだ。それも定年の年齢になったか、ならないかだけの違いだ。これが、39歳と60歳では相当違う。更に、60歳と70歳でもそうとう違う。

老いによる体への影響を考慮した仕事の創造と配置、そして、労働環境だ。

私は、定年退職を予定しているシニア社員を無理やり再雇用の職場に送り込むのではなく幾つかの選択肢を提供して自主的に動いて頂く方が良いと思っている。こんな選択肢だ。

  1. 会社が提供する職場と職種に従う
  2. シニアインキュベーションに挑戦する
  3. 希望の職種の会社を人材派遣会社から斡旋して頂く
  4. 転職活動
  5. 退職

特に2のシニアインキュベーション事業は、シニアと起業家をマッチングさせてそれぞれの強みを活かす試みが重要だ。起業家は、シニアが見つけてくるのも有りだ。この起業家と一緒にこんなシニアビジネスを展開したいと言った具合で新規ビジネスの可能性に挑戦させる。

主体は、シニアインキュベーション事業を選択したシニア社員になる。若い起業家をビジネスパートナーにして会社がそのビジネスを援助する形になる。60歳から65歳までに何回も挑戦できる仕組みがあれば、その過程で会社とっても有益な新規ビジネス発掘の手がかりを見つける可能性が高い。

少子高齢化の時代は、高齢者市場が広がる。高齢者市場は、自分自身が高齢者のほうがニーズを理解しやすい。シニア社員だけで新規ビジネスを創造するのは難しいので不得手な新規アイデア作りを若い起業家の発想を取り入れて補完するやり方だ。

ある程度の会社規模の会社ならば、シニアインキュベーション事業を組織として整えることが出来る。大きな費用はシニア社員の人件費ぐらいだ。有望な案件が生まれれば、その度に予算を組めば良い。現業事業部では、新規ビジネスを作り出すための要員がいない。意欲的なシニア社員であれば、その社員の意向と情熱を有効活用すべきだ。