役職経験者のシニアはどこで何をしているのか?

大会社の管理職、役員職を勤め上げ、定年退職後、子会社の社長として65歳まで働いた役職経験者のシニアは、その後、どのような生活を送っているのだろうか。

そんな人たちが集まるNPO団体の懇親会に行ってきた。コロナ禍以前の話であるが、多くの役職経験者のシニアは、70歳以上になっていた。見るからにしてお爺さんの風貌が漂っている。 

老いては子供に戻る!と言う。役職経験者も現場を離れると時代の流れを見失ってしまう。時代に追いついて行けてないのであるが、NPO団体で社会とのつながりを保ちながら時代の流れに追いつこうとしている。コロナ禍の中でオンライン会議を学びながら定例会を開催している。

65歳で会社組織を離れてビジネス環境に自分を置いていないと時代の流れに確実に置いていかれる。それが嫌なシニアがビジネス関連のNPO団体で何か自分に出来ないかと情報を求めている。

 

NPO団体の中で役職経験者のシニアは何を求めているのか?

経営支援NPOクラブという団体に参画してくる役職経験者のシニア会員は、現在、220名近くいる。その中の四分の一ぐらいは元の会社で役職を経験している。そんなシニアがアクティブに活動をしている。設立されて20年が経っている。黒字経営のNPO団体組織で自治体、官公庁から落ちてくる案件で回っている。ビジネスの中心事業は、中小企業にお客様を紹介し、マッチングさせる営業支援活動である。 

中小企業のほとんどが、脆弱な営業力のため自社サービスや製品を求める市場に訴求できていない。技術力がある中小メーカーであってもその技術力を大企業に繋げるツテがない。そのツテになる営業活動と言うか、紹介活動というか、元大企業の役職者の人脈を生かす活動で自分の居場所を見つけている。

役職経験者のシニアは「暇」で困っている

多くの役職経験者のシニアは、毎日が日曜日の状態にいる。何か自分という存在を世の中で役立たせたいと思っているのだが、その思いがアクションにつながるほど強くない。強くないシニアは、又、組織に戻ろうとする。独りで出来なければ、集団で何か出来ないかと考える。

定年退職後、会社が紹介する関連会社に横滑りするのを断って自分で事業を始めるシニアもいる。中小企業の創業者のほとんどが、元会社員であった。定年退職ではなく、リストラや家庭の事情などで起業する人もいる。会社ではやれないビジネスを諦めないで自分でやり通す人もいる。 

定年退職を役職定年で終える人は出世した会社員。経済的には余裕がある。別に老後の生活で経済的に困る心配はない。彼らがこのNPO団体に集まるのは、自分の力を活かせる「場」と「社会とのつながり」があるからだ。中には、自宅でブラブラしているのが退屈で人恋しさを求めて参加するシニアもいる。

「生きがい」を探す役職経験者のシニア

私がNPO団体に参加している理由は、人生の先輩たちの生き様を参考にしたいと言う事と社会に身を置く場所を求めたためである。私が持っている専門技術や知識がNPOで活かせれば、本業に影響がない範囲で協力をしている。

色々なニーズが役職経験者のシニアにある。そのニーズが満たされる役職経験者のシニアは、NPO団体に居続ける。出るも入るも自由であるから、友達の紹介で登録会員だけで終わっているシニアもいる。純然たる会社組織とは違って緩いルールで活動と組織が成り立っている。それも魅力なのかもしれない!

大手企業を卒業したシニア、特に役職経験者は他社との人脈がたくさんある人が多い。電話を1本入れれば中小企業を紹介できてしまう。ニーズさえ分かれば、そのニーズを提供する中小企業を探せば良いだけ。人脈が多い人ほどビジネスのマッチングで苦労しない。

社会で役に立つ「居場所」を探している

独立して会社を経営するほどの意欲はないが、口コミでAとBをつなげるぐらいの仕事はやっても良いと思っているシニア。ビジネスだけで毎日時間に縛られる生活はしたくないが、必要に応じて時間を割くのは構わないと思うシニア。NPO団体はやりたい人にやりたいだけの仕事を提供している。そのためか役職経験者たちがマッチングビジネスで生きがいを感じている。

会員の中には私のように自分で起業しながら参画するシニアがいる。彼らも自分の専門分野や本業関連で貢献できる案件があると活発に参加してくる。彼らは現実のビジネス世界で生きているので案件の見極めが他のNPO会員よりも鋭い。NPOでの活動は無報酬ではない。ちゃんと仕事に対しての報酬があるが民間企業と違って小遣い程度である。

生活費に困っているシニアたちではないので自分のスキルや人脈が活動で生きるならば、報酬は小遣い程度でも良いと皆感じている。自分の経験やスキルが活かされる「居場所」であれば、それで満足であるシニアが多い。

私のスキルと専門知識は経営支援NPOクラブの中でどう使われているのか?

私の貢献分野は、2つある。

  1. 中小企業の製品を海外に紹介する「海外支援ポータルサイ
  2. 中小企業の製品を国内で販促する「国内企業支援ポータルサイト

オープンソースソフトウェアを使ったシステムによるポータルサイトサービスである。ビジネスモデルを提案し、サービスを実行するためのポータルサイト開発と管理運営すべてを私が行っている。NPOのシニアたちはこのポータルサイトを使ってビジネスを支援できる中小企業を見つける。

インターネットビジネスは私の本業であり、専門分野であるのでやりがいと生きがいがそこに生まれる。

結論

大手企業OBの強みは人脈である。役職経験者であればあるほど色々な企業の重役や社長と顔がつながっている。電話1本で話を聞いてくれる。中小企業の社長がアクセスできない人達に簡単にアクセスできてしまう。その人脈をうまく活用してNPOのビジネスにしている団体がある。そこでは役職経験者がやりたい仕事だけをやっている。彼らのニーズと居場所がそこにあるからだ。