大会社の管理職、役員職を勤め上げ、定年退職後、子会社の社長として65歳まで働いた役職経験者のシニアは、その後、どのような生活を送っているのだろうか。
そんな人たちが集まるNPO団体の懇親会に行ってきた。多くの役職経験者のシニアは、70歳以上になっていた。見るからにしてお爺さんの風貌が漂っている。
老いては子供に戻る!と言う。役職経験者も現場を離れると時代の流れを見失ってしまう。時代に追いついて行けてないのである。
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NPO団体で生きがいと社会とのつながりを探している役職経験者のシニア
このNPO団体に参画してくる役職経験者のシニア会員は、現在、220名近くいる。その中の四分の一ぐらいの役職経験者のシニアがアクティブに活動をしている感じだ。設立されて12年が経っている。黒字経営のNPO団体組織で自治体、官公庁から落ちてくる案件で回っている。ビジネスの中心事業は、中小企業にお客様を紹介し、マッチングさせる活動である。
中小企業のほとんどが、脆弱な営業力のため自社サービスや製品を求める市場に訴求できていない。技術力がある中小メーカーであってもその技術力を大企業に繋げるツテがない。そのツテになる営業活動と言うか、紹介活動というか、元大企業の役職者の人脈を生かす活動である。
役職経験者のシニアは暇で困っている
多くの役職経験者のシニアは、毎日が日曜日の状態である。何か自分という存在を世の中で役立たせたいと思っているのだが、その思いがアクションにつながるほど強くない。強くないシニアは、又、組織に戻ろうとする。独りで出来なければ、集団で何か出来ないかと考える。
定年退職後、会社が紹介する関連会社に横滑りするのを断って自分で事業を始めるシニアもいる。中小企業の創業者のほとんどが、元会社員であった。定年退職ではなく、リストラや家庭の事情などで起業する人もいる。会社ではやれないビジネスを諦めないで自分でやり通す人もいる。
定年退職を役職定年で終える人は出世した会社員。経済的には余裕がある。別に老後の生活で経済的に困る心配はない。彼らがこのNPO団体に集まるのは、自分の力を活かせる「場」と「社会とのつながり」があるからだ。中には、自宅でブラブラしているのが退屈で人恋しさを求めて参加するシニアもいる。
NPO団体の中で生きがいを探す役職経験者のシニア
私がNPO団体に参加している理由は、人生の先輩たちの生き様を参考にしたいと言う事と社会に身を置く場所を求めたためである。私が持っている専門技術や知識がNPOで活かせれば、本業に影響がない範囲で協力をしている。
色々なニーズが役職経験者のシニアにある。そのニーズが満たされる役職経験者のシニアは、NPO団体に居続ける。出るも入るも自由であるから、友達の紹介で登録会員だけで終わっているシニアもいる。純然たる会社組織とは違って緩いルールで活動と組織が成り立っている。それも魅力なのかもしれない!
大手企業を卒業したシニア、特に役職経験者は他社との人脈がたくさんある人が多い。電話を1本入れれば中小企業を紹介できてしまう。ニーズさえ分かれば、そのニーズを提供する中小企業を探せば良いだけ。人脈が多い人ほどビジネスのマッチングはそれほど苦労しない。
大手企業OBで役職経験者は社会で役に立つ居場所を探している
独立して会社を経営するほどの意欲はないが、口コミでAとBをつなげるぐらいの仕事はやっても良いと思っている。ビジネスだけで毎日時間に縛られる生活はしたくない。NPO団体はやりたい人にやりたいだけの仕事を提供しているためか役職経験者たちが生きがいを感じている。
結論
大手企業OBの強みは人脈である。役職経験者であればあるほど色々な企業の重役や社長と顔がつながっている。電話1本で話を聞いてくれる。中小企業の社長がアクセスできない人達に簡単にアクセスできてしまう。その人脈をうまく活用してNPOのビジネスにしている団体がある。そこでは役職経験者がやりたい仕事だけをやっている。彼らのニーズと居場所がそこにあるからだ。