電車にもバスにも優先席が指定されている。優先座席の利用対象者は、高齢者・身体障害者・怪我人・妊婦・乳幼児連れなどである。利用している人を見ると必ずしも対象者でない人たちが多い。スマホを使っている若い女性や主婦、学生、会社員など色々な人が座っている。通勤時間帯などは、先に座った者勝ちだ。
高齢者が優先席を積極的に活用しているかどうかは定かではないが、高齢者にも2種類の老人がいる。敢えて優先席に座らないシニアと堂々と座る老人だ。私が気になったのは優先席に座らない老人たちだ。
老人と思われたくない!余計なおせっかい!
ある日、乗客で混んでいた電車の優先席に座っていた時、眠くて目を閉じていた。目の前の同年配の男性から声をかけられた。席を必要としている老人がいるから先を譲って下さいと言われたのだ。一瞬、何の事か判断が付かなかったがその男性の横におばあさんが立っていた。混んでいる電車の中なのでその男性が気を利かしたのだろう。面白い事に私の横に座っていたのは、若い女性だった。なぜ、私だったんだろうか?
多分、同年配である男性だから言いやすかった、状況をすぐに理解してくれると思ったのだろう。私は、直ぐにそのおばあさんに席を譲った。64歳の私の風貌は、年寄りではなかったのだろう!Old & Grayの風貌であるが。
私は、基本的に私より年寄りの方に席を譲っている。優先席であろうとなかろうとだ。
でも、時々、相手の年寄りに断られる時がある。見た目は年寄りで私よりも年配の人であるのだが、席を譲ろうとするとお構いなくと言われてしまうのだ。そんな時、なぜ何だろうかと自問する。
余計なお世話と思われたのだろうか。それとも、直ぐに下車するからなのだろうか。立っている何かの理由があるからなのだろうか。色々な理由が頭に浮かんでくる。強く感じたのは、「私はまだ席を譲られるほど老人になっていない!」という事を言いたかったのではないかと。
64歳のシニアであるが、還暦を過ぎてから電車やバスの中で若い人たちに席を譲られた経験が一度もない。60歳代はまだ若く力強く見えるからなのだろう。特に私は、180センチの身長と75キロの体重で胸幅が大きいので席を譲るほど体力が弱ったシニアに映っていなかったのだろう。外見による違いはあると思う。
元気な老人男性ほど自分の若さを意識する。おばあさんはその逆が多いように思える。立っているよりも座っていることを好むように見える。高齢者の健康ブームの影響かもしれないが、元気な年寄りが増えている。優先席は、プライオリティー・シート(Priority Seat)、または、シルバーシートと言わているが強制力はない。使う人たちの良心に訴えてその判断に任せている席である。
本当に必要な人に対して優先して使ってもらうという意識が利用者にあれば、それで良い。状況判断が出来る人と意図的に無視している人との違いだ。人間としての社会マナーなのだが、色々な人間がこの社会にはいる。
理想と現実は確実に違いがある。自分より年寄りの方、身体障碍者、幼児を抱えた母親、妊婦、体の調子が悪いように見える方などに優先的に使ってもらうよう自分で意識するだけだ。