会社の後輩や同僚が次々と退職して行っている。ある知人はリストラをされて、別の知人は65歳の定年退職で。彼らは、まだ、会社で働きたいと願っていたのだが、会社都合でや年齢でお役目ご苦労様となってしまった。
60歳が節目になって第二の人生を事前に考えているシニアはその計画を迷いなく実行すれば良い。会社員生活が長いと会社にぶら下がった人生が楽で仕方が無くなる。出来るだけ長くぶら下がって給与をもらいたいと考える人が多い。60歳はまだ若い。再就職先を探せば、または、現在の会社に居残って働けば取り合えずぶら下がった生活が続く。
65歳になると60歳の時とは違った年齢という大きな壁が前面に出てくる。会社は、65歳の人よりも60歳の人を雇用する。再就職は99%難しくなる。会社にぶら下がった生活を考え直す年齢だ。
会社を卒業したシニアが一番喪失感を味わうのは、自分が誰であるかを表す名刺が無くなる事だ!今までの生活は○○○会社の誰々さんという顔があった。その顔が無くなった自分にショックを受ける。
目次
60歳前にリストラされた知人と65歳で会社を卒業した知人
他人の会社で雇用され続けるシニアはいなくなる。会社都合で、年齢で、体力や健康で会社を卒業せざるを得ない時期が必ずやってくる。60歳になる前にリストラで会社を去った知人は、しばらくの間、名刺を持つ事が出来なかった。名刺は、誰かに会う時に自分という存在を教えるツールとして便利な道具だ。この道具が無いと必ず「今何をされているのですか?」という質問がやってくる。その質問に上手く回答する事が出来ない自分に悩み始める。
60歳になる前にリストラされた知人
会社の業績が悪くなると会社都合で社員を犠牲にする構造改革という名のリストラが始まる。対象者は、50歳以上の社員が多い。年収が多い社員で所属組織で必要とされていない人がリストに載せられる。私の知人は不幸にもそのリストに載ってしまった。リストラを不幸と感じるか、幸運と感じるかは対象社員次第だが。
リストラ対象者には、高額な退職上乗せ金がでる。それを喜ぶ社員もいる。リストラされた社員でないと高額な退職上乗せ金を頂けないからだ。
会社員の呪縛
知人は、再就職を求めた。会社員でリストラをされた人ならば、再就職しか頭にない人が多い。今までと類似の生活環境で安心と安定を求めるのが自然だからだろう。会社員の呪縛は、別の会社に就職できれば不安は消えると考える事だ。別の会社で給与を頂く生活しか選択が無いかのように行動する呪縛である。線路がある上でしか自分の人生を考えられないという呪縛。
彼は、56歳であったので再就職先が半年ぐらいで見つかった。私は彼から再就職をどうするか相談を受けた。私は、彼にこんな事を考える事を助言した。
「再就職が出来ても60歳、65歳になった時にまた今と同じ状況になるよ!出来るならば、再就職活動をしながら副業を見つけて自分でお金を稼ぐ訓練をして見てはどうかなあ!」
60歳まであと4年が彼にあるが、その会社が65歳まで働かせてくれる保証はない。60歳になった時に必ず同じような問題に直面するのが見えている。4年なんかあっという間に過ぎてしまう。
65歳より先の人生を考えない
心情的に彼が求めていたのは今を何とかする事であった。取り合えず、次の会社が見つかって給与が定期的に頂ける状況にしたいという欲求だ。将来の事は、次の会社で働き始めてから考えたい。そんな思いが強かった。今、彼は60歳になり退職をせざるを得ない状態になった。彼は、再就職先を今も探しているが半年経過しても見つからないでいる。
60歳はまだ若いので職を選ばなかければ次の会社が見つかると私は思っている。彼は、最近、起業する事も考え始めている。60歳で再々就職できても65歳でまた振出しに戻る事を彼は今回体験した。他人の会社にぶら下がっていられる時間は限られる。最後は、自分でお金を稼ぐという選択肢しか残らない。もし、仕事をしたいならば。
今、60歳の彼は、65歳になった時の自分の人生を考えている。起業という選択肢がやっと目に見えて来ているようだ。
65歳で年次契約が終わった知人
65歳以降の人生計画が彼にはなかった。65歳まで会社勤めをして年金を受給すれば、後はゆっくり余生について考えたいという感じであった。半年ぐらい好きなことをやって遊んでからじっくりと仕事探しをしようというおぼろげなイメージを持っていた。会社にぶら下がって生きてきた習慣は、簡単には変えられない。
どうしても、雇ってもらいたいという考えが先行してしまうみたいだ。
仕事が見つからない
65歳という年齢は、雇用先を新しく探す時に大きな壁になる。正攻法で職を探しても書類審査で落ちる。ハローワークでもどうしようもないような募集案件だらけだ。多くのシニアは、65歳から働くことを諦める。年金が入ってくるから焦らない。取り敢えず、派遣会社に登録するしか無い。シニア専門の派遣登録も増えてきているから派遣社員という形で職を得られるかもしれない。
一番良いのは、既に独立して会社経営をしている知人の会社に潜り込むことだろう。または、知人の紹介で働けるかもしれない。 普通のやり方では、新しい職は見つからないのが一般的だ。
65歳になったら、どうするかを事前に計画して準備していれば慌てることはないだろう。準備をしていないシニアが多いから慌てるのが現実なのだが。
年金受給がある
働いて収入が月額48万円以内であれば、受給する年金が減らない。年金が22万円ぐらいであれば、あと26万円ほど余裕がある。月に10万でも稼げば、年金生活にも経済的な余裕が生まれる。月10万円ぐらいならば、パートやアルバイトで十分稼げる金額だ。知人は、新しい職探しを止めて小遣い稼ぎに進路を変えた。
小遣いを月額10万円稼ぐという目的ならば、アルバイトやパートはたくさん見つかる。自分の経験や知識が活かせるパートやアルバイトがあれば、幸いだが現実は少ない。簡単に見つかるのは、ファストフードチェーンのアルバイト募集である。時給1000円ぐらいで直ぐにでも働ける。自分の都合が会う時間帯と労働時間を調整できる。
知人は、年金とアルバイトで生活のリズムを作り始めた。
他人に頼り続ける
70歳までは働き続けたいというシニアが多い。自分を雇用してくれる会社が見つかれば良いのだが、何か特別な能力やスキル、または、専門性がないと若い応募者に職は奪われてしまう。65歳という年齢は、他人の下で働くという仕事観から自分で自分を雇わないと仕事に有りつけないという仕事観に変わってくる。
シニア起業が増えている。
私は、知人にシニア起業を勧めた。すぐに起業するのではなく、アルバイト感覚で小遣いを自分で稼ぐビジネスに挑戦してみることを教えた。大きな先行投資をしない隙間ビジネスを自分で見つけてお金を自分で稼げるかどうかを挑戦してみる。彼は、アルバイトをしながら自分で稼げるビジネスを考えている。
65歳から70歳までに起業の真似事をして1円でも良いから自分でお金を稼ぐ経験をすれば、新しい生き甲斐を見つけられる。
結論
60歳と65歳の知人がいる。二人とも職を失い、これから何をしていけば良いかを悩んでいる。60歳の知人は転職先を探す。65歳の友人はパートやアルバイトをやりながらシニア起業をする計画がある。どちらにしてもシニアは60歳を過ぎた時点で他人に頼らない人生を探さざるを得なくなる。
60歳から65歳までに何をすれば生きていけるのか。転職できても年次契約で不安定な雇用になり、65歳で雇用が終わる可能性が高い。人生は65歳以降も続く。自分に頼って生きていく第二のキャリアを作らないと他人は助けてくれない。