シニアが起業を考えるとき、出たこと勝負でビジネスプランを考える傾向が強い。その結末は、失敗する。ビジネスの種は複数あると失敗しても再挑戦が出来る。多くのシニア起業家は、一つのビジネスだけで考える。それが成功するチャンスを下げる。
シニアが起業する時は、必ず、複数のビジネス・アイデアを用意する事である。用意した複数のビジネスの種のうち一つがヒットすればそれでやっていける。シニアには若者と違ってやり直す時間が少ない。
51歳で起業をした時、兄から「起業するには遅い!」と言われた。ベンチャー企業同士の交流会で自己紹介をした時、私の年齢が51歳である事を聞いて驚いていた若者が多かった。13年前の事である。今は、60歳代以降にシニア起業する人が多い。50歳代よりも60歳代の起業家が多い。背に腹はかえられない事情があるシニアが多いからだ。
失敗を前提に起業プランを作る
相当の自信と経験がある人は、先行投資をしてビジネスを始められるだろう。多くのシニアは、素人の起業家である。成功する確率よりも失敗する確率が非常に高い。高齢者が事業で失敗すると次回というビジネス機会がなくなる。ただ、ビジネスに投資する運転資金に余裕があれば、次のチャンスを試せる。
起業した経験者からの助言
私の経験から、シニア起業をする人は手持ちの運転資金を2分化して半分の運転資金で始められるビジネスを探すべきである。なぜならば、最初の挑戦で99.99%失敗するからだ。起業の経験がなく、起業するための知識だけで経験則が乏しいので落し穴に落ちてしまい、運転資金を使い果たす。
過度な期待を最初からしないで小さいな失敗を積み重ねて起業の経験を蓄える事から始める。失敗は成功の元。これは確かである。若者たちの起業と違ってシニアは年齢的にやり直しがきかない。65歳で起業して1年後に倒産。数年は、次の挑戦のために運転資金を稼ぐ仕事に就く。3年間、苦労して運転資金を貯める。最初の失敗を元にして次の起業を行う。もう、70歳近い年齢になる。
高齢者による起業は、失敗してもお金が残るビジネスが良い。先にお金が出ていくビジネス展開はやめた方が良い。営業活動費としてお金が出ていくのは問題ないが、ビジネスを始めるためにお金が先に出ていく商売はシニアに向いていない。自分の人件費と営業活動費はどんなビジネスをするにも出ていく費用である。それ以外に費用負担が大きくなると直ぐに運転資金がなくなる。
最初から株式会社から始めない
ビジネスを始める時に株式会社を設立するシニア起業家が多いが、お勧めしない!
まずは、個人事業主として自分のビジネスを始めてお金を稼げるかどうかの可能性を調査する。個人事業主でお金を稼げれば、売上の規模を見て株式会社の設立をする。その理由は売上がない状態が1年、2年続く可能性があり、株式会社を維持するための税負担が発生するからである。売上がないのに税負担だけが出ていくのは自分で失敗の入口を作る。
私はこの方法に気がつかなかった。最初から合同会社でビジネスを始めてしまった。半年間は、売り上げがなかった。営業活動でお金を使いながら売上を稼ぎ始めるまで半年以上時間がかかった。会社を維持するだけで税金が発生するビジネス形態はシニア起業家にとってマイナスである。幸運に私のビジネスは初年度から黒字になった。
私のようなケースは希である。多くは、初年度は真っ赤っかの赤字である。次年度でやっと黒字になるかならないか普通である。3年目で黒字になる場合が多い。それも上手く要っての話である。最初の1年は自分のビジネスモデルでお金が稼げるかどうかの実験になる。2年目から本当のビジネスが始まる。
運転資金は2年間売り上げ無しでもやっていける金額を用意する
以前は会社設立の資本金が1000万円以上であった。有限会社で300万円である。現在は資本金1円でも会社を設立できる。資本金はビジネスを始めるための運転資金である。資本金1円の会社はビジネスを始める時にお客を既に掴んで売上が出ている状態にある。
副業を本業にしたシニアならば、これが可能である。既に売上が出ているからだ。そうでないシニアはビジネスを始める時に最低2年間売り上げがなくてもビジネスを続けられる資本金が必要になる。1年目に売り上げがゼロならば、そのビジネスモデルは失敗になる。次のビジネスモデルを試すために2年目がある。
シニア起業は1回で成功しない。最初の失敗で何が欠けていたかを学び、次の挑戦をすることで成功する確率が増える。そのためには2年目に使う運転資金が必要になる。
起業は若者でもシニアでも難しい。起業するには、先に売り上げがあるビジネスを副業や個人事業主としてやっている方が成功する。会社を定年退職したシニアは、残念ながらそれがない人がほとんど。これが現実であり、失敗するシニア起業家が後を絶たない理由である。
結論:シニア起業するならば・・・
1.個人事業主として始め、売上を見て会社を設立する
2.2年間売り上げが無くてもビジネスが続けられる資本金(運転資金)を用意する
3.最初の挑戦で失敗しても直ぐに次のビジネスプランで再挑戦が出来るようにする
シニア起業家にとって時間は貴重である。失敗が前提で次の挑戦が出来るプランと資金を用意する。最初は小さく始めてビジネスの可能性を検証する。テストマーケティングを行うことで失敗の深い傷を追うのを防ぐ。借金をして立ち上がらないビジネスを追求するのはやめる。