私の元同僚(ソニーを卒業した社員)の殆どが起業している。ソニーの社風として俺が、俺がのでしゃばり精神がそのまま老後の生活にでているのかもしれない。言い出しっぺが責任持ってやる!これが以前のソニーの社風であった。私の年代の元ソニー社員は、井深さんや盛田さんが健在であった時代の社員だ。
盛田さんのこんな言葉を覚えている。
「会社は君たちを利用する。君たちは会社を利用してほしい。もし、会社を利用できないならば入社することを止めてほしい!」こんな言葉であった。
シニアになってからの起業は、若者以上にリスクを感じやすい。長年の会社勤めで温室育ちになっているからだ。現実は、年令に関係なく起業してやりたい事をやりたいという情熱があれば、世の中はチャンスを作ってくれる。
熱い願望がシニア起業家の目を輝かせる!
やりたいビジネスがある人は、躊躇なくやったほうが良いと私は思っている。シニアには、やりたいと思った時しかやれない時間の制限がある。起業したシニアは、起業リスク以上に起業して自分のビジネスを展開したいという情熱がある。情熱が不安を乗り越える。熱い願望とちょっとした勇気があれば、起業することが出来る。
シニア起業を成功させるためにはテストマーケティングが必須!
起業は情熱や願望だけでは上手く行かない。シニアには何度もやり直す時間がないかもしれない。体力に限界がある。そのため、ビジネスの種が本当に脈があるのかどうかをテストマーケティングする必要がある。テストマーケティングは、ビジネスの種を期間限定と限定予算以内でお金が稼げるかどうかというテストビジネスである。そこに市場があると考えていてもやってみたら何もなかったということを知るテストである。
自分の頭のなかで感じた、考えたビジネスの種は、現実を反映していない場合が多い。
市場ニーズを確認できれば、後はお金を稼ぐ仕組みづくりだけだ。ビジネスづくりは、お金を稼ぐ仕組みづくりが一番重要だ。その前提になる市場が見えていないと何もならない。
一度しかない人生、思いっきり悔いなく
若い人たちは、新しい市場を作り出すという挑戦ができる。何度もやり直す時間的な余裕と体力があるからだ。シニアは、その機会がない。出来るだけ無駄な時間と体力を消耗するビジネスは避けなければならない。
目が輝いて起業したシニアは、起業1年目に色々な、不思議な体験をすることになる。組織の歯車でない経営者という立場でビジネスをすると今まで見えていなかったことや出会いに出くわす。非常に新鮮な体験になる。学ぶことが多い。何もしないシニアよりも人生の深い味を楽しめる。良いことも、悪いことも含めてだ。どっち道、人生は一度限り。行き着く先は誰も同じ。怖がることはない。
起業1年目が最も興奮する。思っていたことを自分の足で手でやることで現実が見えてくる。自分が動けば、その反応が自分に帰ってくる。未知の世界が目の前にあり、自分しか分からないことが結果として出てくる。
誰もが生き残れるとは思わないが、起業に挑戦したシニアは目が輝いてアクティブに動いている。少なくとも不安を乗り越えて行く自分の姿を肌で感じられる。組織の歯車であった過去の自分とは違った感覚が生まれる。1円でもお金を稼げれば、自分に自信が生まれてくる。自分でお金を稼げるんだという自信である。
起業して14年、65歳の私
51歳の時に背中を押されて起業した。朝起きた時、外出する時、足が地に浮いて歩いている感じがした。不安はあったがそれほど感じていなかった。最初の1年は誰もが赤字覚悟でビジネスをやっている。1年間をどう展開するかにかかっていた。
ビジネスの種はオープンソースCMSを使って法人向けホームページを中小企業のために制作することである。それだけでは頼りないのでメールマーケティングのコンサルティングサービスもやっていた。その当時は、まだ、これら分野に参入する人が少なかった。自分で市場を開拓すればお客をつかめる時代であった。
14年経過した今、市場は大分変わった。最初の頃の情熱も衰えてきてビジネスのマンネリ化が起きている。絶えず新しいビジネスの種を探しながら年金をもらう年齢になった。食べて行くには困らない収入をビジネスと年金から得ているが人生はお金だけで済まされない。
「生きがい」を何に見出すかである。私はインターネットビジネスの世界で出来ることを追い求め続けたいと思っている。自分がやったことでお金を稼げることに興奮するからだ。心を湧き立てる、喜ばせる、そんな刺激を余生に求めている。
雇われて仕事をするシニアの目と自分のビジネスで働くシニアの目には明らかに違いがある。リスクがあるから刺激がある。刺激がある人生は良くあれ悪くあれ面白い。後で振り返ってみるとそう感じる。
結論
若者でもシニアでも自分が熱望した事をやろうとする時の目は輝いている。会社を卒業して始める自分のビジネスは特に目が輝く。やってみたいことがたくさんあるからだ。今まで出来なかったことが自分の手で試せるという興奮である。
60歳、65歳を過ぎると楽な老後の生活を求め始める人が多い。その一方で組織に制約されてきたストレスを発散するために起業という道に進むシニアがいる。起業できる機会は今しかないと感じるからだ。もし、この機会を失うと二度とチャンスはやってこない。そんな思いを感じているシニアは自分の願望を形にする。