「社会との接点がある」
「誰かに必要とされている」
「人の役に立っている」
「自分でお金を稼いでいる」
この4つの感情がシニアにあれば、そのシニアには自尊心がある。自尊心とは自分の人格を大切にする心である。老いて来ると自分の存在に疑問を持ち始める。自分が社会で求められていないと感じ始める。仕事もなく、世話をする子供も独立し、仲間と一緒にいつも何かをしているという生活から遠ざかる。次第に社会との接点を失い始める。
シニアの自尊心は充実した人生を送る上で重要なことである。
老人になっても誰かの役に立ちたいという気持ちはある。そんな気持ちが満たされない老人が増えている。70歳を過ぎる頃から社会はシニアを老人として取り扱い始める。「老人には用はない!」と言った見かたをする人が増える。老人にも色々なタイプがある。積極的に社会との接点を持とうとする人、ボランティア活動をして人の役に立とうとする人、生涯現役を貫く人など。
その一方で、社会から消えて行く人たちも多い。自分の活動を自宅範囲に留めて趣味に生きようとする老人たちである。彼らの活動は家族しか知らない。他の人たちとの交流が限定される。追求する趣味で個人差が生まれる。趣味が他の人や外部との接点を深める物であれば、余生は充実するだろう。社会から消えて行く老人たちは自分の存在価値を見出せなくなる。自分の存在価値を気が付かせてくれる周りの人たちがいないからだ。
目次
若い者には負けない!という自尊心
私はもう70歳を越している老人だから、若者たちと同じような事は出来ないと最初から諦める人が多い。確かに、体力的に若者たちと同じことをする事が出来ない場合もあるが、そうでない分野も多くある。健康で元気なシニアは社会の中で自分の存在を発信できる「場」を確保すべきである。できるならば、自発的にその「場」を作る方が良い。
老人たちが活躍している分野は必ずしも若い体力を要求していない
- 著作者
- 芸術家
- 写真家
- 音楽家
- 医者
- 薬剤師
- 法律家
- 翻訳家
- 教育家
- 匠
- 特定分野の熟練者
- 研究家
老人たちが自分自身に自信を感じるのは「長年やり続けた事」にある。特定分野のエクスパートは若者に勝てる。経験値がものを言うからだ。この社会で自分の存在価値をアピールするには特定分野のエクスパートになるのが一番早い。自分が興味を持ったことを深く追求して行けば行くほどその分野の専門家になれる。
特定分野の専門知識や技術がビジネス界で求められれば年齢に関係なくお呼びがかかる
趣味でもその道のエクスパートになれば、教えを乞う人たちがやってくる。一番ダメなのは、中途半端にやめる人たちだ。何をやっても途中で投げ出してしまう老人たちは、どうしようもない。余生と言う時間の中で漂い続けて終着駅に到着するのを待つだけである。
私が住む集合住宅には清掃作業をしている80歳過ぎのおばあさんがいる。清掃会社に雇用(パートかな)されて特定日の朝早くからゴミ出し場の整理をしている。いつも、ゴミ出しをする時にお会いするので「お早うございます!」と声をかけている。彼女はゴミ出し場の整理整頓のエクスパートである。ゴミ収集車がゴミを積み出しやすいように私たちが出したゴミを整理している。80歳過ぎの老人がそれをやっている事自体が驚きなのだが。
若い人が嫌がる仕事を積極的にやり、自分の年齢に負けない働きをする。色々と作業の工夫をすることで自分の仕事が楽になる。若者はそんな工夫はしない。力任せで作業を終了すればそれで良いと思っている。
他人に対して自慢できる事をするのではなく自分に対して自慢が出来る知恵を出す
これが老人に生き甲斐を生ませる。同じことをやるにしても老人がやれば、こんな事になると言った驚きのやり方や効果を作りだす。物事を追求し続けるとそんな効果を自分で作りだせる。若者に無い自分の秘密を持てる。
今、60歳代ならば、自分の専門分野を作れる。得意な事や楽しい事が有るならば、その分野のエキスパートになれるよう他人に無い自分だけの秘密を作りだすことである。
人生経験が豊かだと自負している老人ならば、人生に迷っている若者たちの「人生相談所」を開いて見る事である。シャッター通りの商店街にある一角に人生に迷っている若者たちのための「人生相談所」という看板を立てて置けば良い。1日1時間でも良いので定期的にそんな機会を設けることで誰かがやってくる。
どの老人もその人しか経験できない世界がある。その人生経験は誰か困った人を助けるきっかけになる。人生に迷った人は自分で自分の活路を悟るきっかけを探している。違った世界から物事を見る事で自分の新しい可能性を見いだせる。老人誰もが「人生相談所の所長」になれる。
シニアの「生きがい」は他人に対して何が出来るか!
70歳を過ぎても社会の中で仕事をしている高齢者は生活のために働いていても自分の存在を社会に発信できている。他の70歳代の人が出来ないことをやっているからである。少なくとも社会でプラスになる活動をしている。その事実をどう考えるかで見方は変わる。
「自分がやらなかったら、誰がやるんだ!」と言う意気込みが生き方にあると自尊心が強く生まれてくる。自分の孫のために長生きをして孫の成長を助けるんだという心構えで老後を過ごすのも良い。孫のためにという生きる目標が出来る。
自尊心とは自分の人格を大切にする心である。もう年寄りだから何もしないという考え方で生きて行くと自分を見失う。良く耳にすることは、「老人にやることを与えろ!」と言うことである。老人でも社会に役に立つという意気込みがこれから必要になる。
社会の誰かにおんぶに抱っこする生活をできるだけ少なくする必要がある。社会から消えていく老人ではなく、目に見える存在の老人になるべきではないか。
結論
「シニアの自尊心は充実した人生を送る上で生きがいになる」のポイント
- 老人誰もが人生に迷っている若者たちの「人生相談所」を開く事が出来る
- どの老人もその人しか経験できない世界がある。その人生経験は誰か困った人を助けるきっかけになる。
- 老人たちが自分自身に自信を感じるのは「長年やり続けた事」にある。特定分野のエクスパートは若者に勝てる。