涙を流したいシニアのための本「株式会社タイムカプセル社」By 喜多川 泰

私はサイエンスフィクションが好きである。この本もSFかと思ったが、そうではなかった。小学生、中学生の頃に10年後の自分宛てに手紙を書いて校庭の何処かにタイムカプセルとして埋めた経験がないだろうか。この本はその手紙を10年後に届けるサービスをする会社の出来事を描いている。

読み進んで行くうちに何故か涙が出始める。目の潤いをなくした私にとって恵みの涙になった。老いて来ると感動で涙が出ることがほとんど無い。お涙頂戴という機会が少なくなった。そんなシニアは私だけではないと思う。暇な老後を感動することなしに過ごしている方は是非この本を読んでもらいたい。

暇な時間が有意義に使われることは確かである。


10years later

感動する本をたくさん読むと目の潤いが戻ってくる。心の乾きも涙の潤いで癒やされてくる。私の読書習慣は本を無性に読みたくなる時期と何も読まない時期が交互にやってくる。読みたくなると一人の作家の本を立て続けに読み出す。もう、次に読む同じ作家の本を図書館で予約している。

一度感動で涙が出てくるともう一度感動したいと思うのは自然だ。

感動する機会を失い涙が出てこないシニアへ

タイムカプセル社からやってきた使者は10年前に書かれた手紙を書いた人に手渡すためにやってくる。こんなサービスが実際にあっても不思議ではない。ビジネスとして成り立つかどうかは需要と供給の問題かもしれない。最近、若い女性が自分の卵子を冷凍保存するサービスに注目している。老いてからの卵子では生まれてくる赤ちゃんに支障が生まれるから若い時の卵子を保存しておきたいという欲望からである。 

結婚しなくても子供だけはほしいという女性も増えてきている。結婚して10年以上立っても子供が生まれないという夫婦も多い。冷凍保存した卵子に人為的に夫の精子を卵子に受精させることで子供を生むことも可能になってきている。

色々な意味でタイムカプセルは存在している。今回のフィクションは昔ながらのコンセプトをサービスとして展開するタイムカプセル社の話である。

10年前の私から現在の私への手紙

私はタイムカプセルとして手紙を自分宛てに書いたことはないのでタイムカプセル社のサービスを利用することはできない。子供から大人になる時期の10年間は変化が大きい。既に大人になってからの10年後はあまり大きな変化はないのでは無いか。個人差はある。

もし中学生の頃にタイムカプセルの手紙を書いたならば、多分、こんな内容の手紙になっていたのではと思う。私は中学生の頃海外のペンパル女性に夢中になっていた。そのため、一生懸命英語を勉強していた。相手はNewzlandの中学生。海外の女性から手紙をもらえるのが嬉しかった。

10年後の私はきっとNewzlandを訪問してペンパル女性と会っている。英語で不自由なく会話をしている。そんな内容で手紙を書いているのではないか。

私の10年前は59歳、何をしていたのかを振り返る

51歳の時に起業したので起業後8年が経過した時になる。最初の3年から5年は順調にビジネスが展開出来ていた。ただ、同じビジネスは10年以上も続かない。次代のニーズと技術の進化でビジネスモデルが社会で通用しなくなる。私のビジネスも同様である。

59歳の時は新しいビジネスモデルを作り出すために試行錯誤を繰り返していた。利益が出ているうちに新しい柱を作らないと後がない。将来への不安は年毎に積もっていく。営業先を開拓するために中小企業同友会に参加したり、企業との交流を深めるために経済界倶楽部の会員になったりした。

60歳になる手前であるので健康も体力も気力もまだ若さを保っていた。後1年で還暦になるという意識もなかった。フットワークは軽かった。お客探しで色々な場所に顔を出して自分が提供するサービスを売り込んでいた。そんな記憶がある。

10年先の自分へ手紙を書いてみる

69歳の私から10年後の私79歳に手紙を書くとするならば、こんな内容になるだろう。もし、生きていたらの話だが。

79歳になった私へ

仕事が遊びになっている。お金を稼ぐから売り上げを気にせずに好きな仕事をしている自分になる。筋トレを週2回から3回に増やし、意識して食事のカロリー量を増やす。タンパク質を多く取らないと筋肉量が増えていかない。老化でタンパク質を筋肉に変える量が落ちる。それをカバーするには筋トレの回数を増やし消費カロリーを増やすしか無い。

80歳になった時にベンチプレスで80キロを上げるという目標がある。それができるようにするために筋トレを週3回に増やしている。疲労を残さないために筋トレの時間を毎回2時間を1時間に減らす。時間はあるのでスポーツジムでの筋トレを中心に自分の生活リズムを作る。

緑内障が悪化して左目の視野だけで生活をしている。自動車の免許証も返納している。視野欠損がひどくなり不自由な生活になる。ただ、幸運なのは筋トレのお陰で体格と筋力は79歳とは思えない状態になっている。緑内障の持病以外は何も問題がない体である。

左目だけの視野、筋トレを中心にした生活と食事、本を読むのが辛くなり、ポッドキャストで音中心の読書や情報入手が始まる。

結論

感動する感覚が鈍くなった。感動して涙が出ることも減った。目の潤いがほしいといつも思っているが感動しないために目から涙が出てこない。「株式会社タイムカプセル社」By 喜多川 泰 この本は感動で涙を出させてくれる。目の潤いがなくなったシニアはこの本をぜひ読んで頂きたい。感動で涙が自然と出てくる。フィクションであるから1日で読めてしまう。

図書館で予約して2週間待たされた。

 

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