シニアが組織で積極的に働くには何が必要か?

NPO団体で働いているシニアたちの働き方は、今後のシニア・ワークスタイルで参考になる。NPO団体は、基本、ボランティア活動である。NPO団体での運営を維持するために民間企業よりも安価なサービスを提供している。NPO団体に参画しているシニアも給与は支払われていない。手持ち弁当が多い。

彼らがなぜNPO団体で働いているのか?

シニアが求めている労働環境は、制約が少なく自分が興味を持った案件中心に働ける環境がある。自分の裁量でスケジュールや仕事配分が出来る事が望まれる。民間企業のように給与と労働時間の交換ではない。強制的に仕事が配分されて行う働き方でもない。

彼らは、興味が無い案件は完全に無視する。やりたいと思った案件だけに群がる。自分のスキルや知識が生きると思った瞬間、動き出す。

自分の裁量とスキルで仕事が出来る労働環境が必須!

民間企業でシニアを雇用する場合、雇用条件が一般社員と同じであると今のシニアはあまり乗り気にならない。自分が長年築いてきたスキルと知識が生きる環境で仕事をしたいと思っているシニアがほとんどだからだ。自分の経験や知識が生きる仕事であれば、シニアは給与の金額に囚われずに飛びつく。

シニアに合った労働条件と環境

シニアの肉体は、60歳と言えども老化してきている。若い一般社員と同じような労働は出来ない。労働で無理をさせない環境が必須である。自分で働く時間と日数をカスタマイズできればそれが一番良い。肉体的、精神的に疲れたら気持ち良く休みを取れる雰囲気も必要だ。シニアのための人事部を会社の中に作る必要がある。

ある意味では、シニアのための会社を作る必要がある。既存の会社組織の延長線上にシニア労働者をはめ込むのは間違いではないか。働き方改革と政府は言っているが、現実の世界はついて行っていない。現在の会社が本当にシニアの労働者を求め始めないとシニアのための会社組織は作られない。多分、時間の問題で社会の流れはシニアのためのシニアの会社を作り出すと思う。

活動が活発なNPO団体を参考にする

その参考になる組織がNPO団体の組織だと私は感じている。私が所属しているNPO団体は、活動が本人の自由意思で行われている。当たり前と言えば当たり前だが、団体組織の規模が小さいとそれが上手く回らない。人数が多いと仕事の案件に興味を持つシニアが増え、この仕事ならば私のスキルや知識が生きると思う人が増えるのだ。

やりたいと思った人が手を挙げて仕事をこなして行くのが経営支援NPOクラブという団体で働くシニアたちである。民間企業ではこんな事は出来ない。給与を支給する代わりに仕事をしろと強制される。NPO団体では給与は支給されない。従って、仕事も強制されない。緩いルールの下で遣り甲斐がある仕事を求めて働いているシニアたちがNPO団体に多い。

民間企業がNPO団体と同じ労働環境で仕事は行えない。競争に勝てなくなるからだ。そうなると、民間企業が雇用するシニアはどのような使い方があるのだろうかとなる。答えは簡単に出てこない。シニアが求める労働環境で民間企業の仕事が回せない可能性が高い

民間企業でシニアの力を上手く活用するには緩いルールで自主性を助長する労働環境が必要になる。一般的にシニアは週3日の労働を一番求めているという。拘束される時間と労働環境が問われる。

働きたいシニアにも色々なニーズを持った人たちがいる。生活費を稼ぐ必要があるシニア、お金よりも社会の居場所とやりがいを求めるシニア、仕事と趣味をバランスよく組み立てた生活をしたいシニア。そうなるとやはり同一労働同一賃金が基本の労働環境が必須になる。

古い体質の企業では、同一労働同一賃金を直ぐに取り込めない。新しい会社でないと同一労働同一賃金の組織を作れないだろう。そう思わざるを得ない。シニアのためのシニアの会社組織を既存企業が積極的に作って行かない限りシニアはワークフォースとして活用されない。  

リモートワーク、テレワーク、在宅ワークが当たり前になるポストコロナ社会

リモートワーク、テレワーク、在宅ワークが多くの企業で当たり前の労働様式になれば、シニアが有する専門性、職歴、人脈、知識などが民間企業によって活用しやすくなる。年齢に関係なく依頼する仕事を達成できる能力さえあれば年齢、性別、学歴などは関係なくなる。

必要なときだけオフィスに出勤して跡は在宅ワーク、リモートワークで仕事が完結すれば企業側はそれで満足する。すでにIT企業はビデオ会議を使って新しい仕事の流れを作り出している。シニアもZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールを使えれば、コミュニケーション上問題はない。

60歳を過ぎたシニアがスマホやパソコンなどを活用できるかどうかが問われる。オンライン会議に問題なく参加できるシニアは最低でもパソコンやスマホが使える人たちである。経営支援NPOクラブは平均年齢72歳の高齢者メンバー230人で成り立っている。毎月の定例会は今まで千代田スポーツセンターの会議室で行っていたが、今はGoogle Meetオンライン会議ツールを使って行っている。

私の感じでは60%ぐらいのシニアメンバーがパソコンやスマホからGoogle Meetオンライン会議に参加している感じがする。IT格差が労働の分断を加速している。ビジネスコンサルティングの分野では、経験豊かなシニアがオンライン会議に参加することで必要なときに必要な知識が得られようになる。

これからの民間企業はオフィスに出社して仕事をするというワークスタイルから各自の専門性を活かしやすい環境で仕事をさせるワークスタイルに移っていく。仕事はよりJob型に傾く。Job型に仕事が傾けば傾くほど仕事をする環境による制約は少なくなる。仕事が効率よく完結できれば在宅で仕事をするシニアでも良いわけである。

70歳を過ぎても働きたければ、最低でもITスキル(ビデオ会議、スマホ、パソコンスキル)を今から身につけるべきである。

結論

  • NPO団体で働いているシニアたちの働き方は、今後のシニア・ワークスタイルで参考になる。
  • シニアが求めている労働環境は、制約が少なく自分が興味を持った案件中心に働ける環境だ。
  • 働きたいシニアにも色々なニーズを持った人たちがいる。生活費を稼ぐ必要があるシニア、お金よりも社会の居場所とやりがいを求めるシニア、仕事と趣味をバランスよく組み立てた生活をしたいシニア。