80歳を過ぎた老人にマイナンバー登録をさせるのは無理だ!

高齢者にマイナンバー登録をさせるのは無理だ。老夫婦たちは、文明の利器から離れ、社会からも隔離されて生活をしている。自宅を出る機会も少なく、外部の人達と接するのは、医者、銀行員、ケアマネジャー、子供の家族ぐらいだ。年齢が80歳を過ぎれば、活動範囲が自宅中心になる。目や耳に入ってくる情報は、新聞とテレビぐらいしかない。

区役所からマイナンバー登録の申請用紙が郵送されても、「マイナンバーってなんだ?」となる。戸籍に代わるマイナンバー登録なのだが、国民のために成らないかもしれない。80歳を過ぎた老人には、マイナス影響が強いだろう。マイナンバー登録を行ってもその恩恵を受ける時期には他界している可能性が大きい。

マイナンバー登録は、国民の金融資産の動きを瞬時にモニターするための背番号だ。金融資産が沢山ある人ほどマイナンバー制度はプラスに働かない。現金のやり取りが銀行経由で行われるとマイナンバーシステムでモニターできてしまう。お金の入金と出金の流れも一瞬でわかってしまう。

政府にとっては、税金をもれなく徴収できるメリットが大きい。老人にメリットがないマイナンバーに半強制的に登録を推し進めるのは無理がある。良い例は私の義父だ。義父はパソコンもスマホもインターネットもない自宅で生活している。歩行障害があり、区役所などに行けない。政府が強制的にマイナンバーカードを広めるために紙の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに集約することを決めた。2024年まであと2年間があるが、高齢で一人住まい、近くに家族や友人も知人もいない老人はどうしたら良いのだろうか。

マイナンバーカードの暗証番号やパスワードなど高齢者は理解できない。覚えられない。もし3回間違えば、カードはロックされる。ロック解除には本人が区役所に出向いて手続きをする必要がある。ロックされたマイナンバー度を持ち続ける高齢者が増加するのを予測できる。

マイナンバー登録用紙を紛失して手続きできず!

政府は、国民にマイナンバー登録をさせるための申請用紙を郵送した。義父夫婦もそれを受け取ったのだが、マイナンバーとはなんぞや!で家の何処かに置きっぱなし。しまいに紛失してしまった。

しばらくは、マイナンバーと言う言葉に触れなくても生活が出来ていた。最近になって介護や医療関連で発生したお金の支払いでマイナンバーと言う言葉が区役所の担当者から聞くことが多くなったと言う。

今年3月に申請する確定申告用紙にもマイナンバーを登録する必要があった。義父夫婦にとってマイナンバーは未知の世界の言葉だ。わからないため、娘婿の私にどうしたら良いか相談してきた。

私は既にマイナンバー登録を終えてカードを取得している。マイナンバー登録は、実に簡単にできた。スマホで自分の写真を取ってスマホ専用マイナンバー登録サイトで申請するだけだ。3分ぐらいで終わった。同じ事を義父夫婦にやってあげれば良いだけなのだが、それが出来ない。

マイナンバー登録申請用紙を紛失した場合

マイナンバー登録申請用紙が郵送されているはずなのだが、それを紛失してしまっている。仕方がないので最寄りの区役所のマイナンバー担当者に電話をしてどのようにすれば良いかを尋ねた。こんな手続き作業が発生した。

  1. 紛失したマイナンバーを破棄するための申請書の提出
  2. 新たにマイナンバーを発行する申請書の提出
  3. 新しく発行されたマイナンバー通知書でマイナンバー登録をする
  4. 91歳の義父の写真を撮影して、マイナンバー登録申請書を郵送する

面倒なペーパー作業が発生するので老夫婦にとっては負担が多い。足が衰えて外出もままならない老夫婦に自分たちの写真を取らせることは無理だ。写真館まで歩いていけない。

結局、スマホで義父の写真を取ってマイナンバー登録サイトでウエブ登録をした。デジタル写真をアップロードして必要な情報を登録するだけでマイナンバー登録は完了する。あとは、出来上がったマイナンバーカードを受け取りに行けば良いだけだ。

老夫婦のマイナンバーカード申請と取得は家族の支援が必要

義父の自宅には、インターネットもパソコンもスマホもない。老人夫婦にマイナンバー登録申請を自分たちだけでやらせること自体が無理である。一人生活をしている老人であれば、誰も助けてくれないし、関心もないかもしれない。

実際、行政では、本来マイナンバーが必要な書類作成でマイナンバー記入無しで通常の作業が処理されている。マイナンバーの記入がないと行政処理を行わないとなると全てが止まってしまうからだ。80歳以上の老人たちにマイナンバーの申請をさせるのは無理である。

私達の世代、60歳代、70歳代ならば、何とか時代について行ってるので対応が可能だが、時代から取り残されている老人たちは自分たちで対応できない。行政のマイナンバー担当者たちは、その現実を肌でわかっている。

行政の都合だけを優先しているため、老人向けに特別な対応もできていない。マイナンバーシステムは当分の間稼働しないだろう。お金をたくさん持っている高齢者たちがマイナンバー登録を済ませていないからだ。

社会の弱者(高齢者、障害者、認知症患者など)にメリットが有るのか?

メリットを考える前に高齢者、障害者、認知症患者などはマイナンバーカードを取得するのが難しい。誰かが個人的に助けないと何も起きない。特に暗証番号やパスワードの設定は第三者が入るとセキュリティーの問題となる。4桁の数字による暗証番号は銀行のキャッシュカードと同じ仕組みであるが、オレオレ詐欺でマイナンバーカードと暗証番号を詐欺されるかもしれない。

80歳を過ぎた老人に一体どんなメリットが有るのか。老人ホームで生活する老人はマイナンバーカードを直に使う機会はない。肌で感じるメリットが見つからない。

インターネットやスマホ・PCを持っていない老人はネットでの手続きを使えない。マイナンバーポータルのアプリが便利であると言っても意味がない。政府はネットに繋がっていない高齢者にマイナンバーカードを持つメリットを示すべきである。

80歳過ぎのシニアは

  1. マイナンバーカード申請が自分でできないし、理解できない。
  2. 歩行障害で役所まで行けない。
  3. 5年に一度の更新も自分で出来ない。
  4. 長生きすると親戚、伴侶、友人や知人がこの世から消えて行くので助けてもらえない。

2024年に施行される健康保険証をマイナンバーカードに取り込む上で社会の弱者は確実に取り残される。

結論

  • 老人世帯にマイナンバー登録の申請書を送っても理解できないためそのままになる
  • 外出できない老人は自分の写真も写真館で取れない
  • 老人にとってマイナンバー登録のメリットが伝わっていない、メリットがない
  • 老い先が短い老人がマイナンバーを使うメリットがない

家族の支援無しで老人にマイナンバー登録を勧めるのは無理がある。国民総背番号をマイナンバー登録で推し進める政府は、マイナンバーのメリットが老人に伝えきれていないし、登録も難しい。マイナンバーシステムが本格的に稼働するまで10年ぐらいかかるのではないだろうか。